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旧検見川無線送信所
建物の評価について
2008年近代建築の保存を進める国際的な建築団体「DOCOMOMO japan」の2007年度の選定建物となる。
2010年建物耐震調査により耐震性については問題ないことが判る。
2013年千葉市が(株)文化財工学研究所に文化財としての価値の調査を委託し、2014年5月千葉市教育委員会生涯学習振興課より検見川連合町内会宛に結果報告ありました。その報告の結語として(株)文化財工学研究所は「旧検見川無線送信所は、吉田鉄郎の初期の作品として、また初期モダニズムのあり方示すものとして、日本近代建築史上、貴重な遺構であり、文化財的価値を有する。さらには日本の無線通信史上、数多くの業績を有しおり、場所自体(建物・敷地)が、初期の無線送信における史跡や近代化遺産ともいえる歴史的、文化的価値を有する建物であり、保存が望まれる」と、またその報告書に「建物の破損状況がひどく早期の補修が必要である」と結ばれている。
現在の建物(敷地)の所属及び保存について千葉市教育委員会生涯学習振興課文化財
保護室に聞く
当該地は検見川・稲毛地区土地区画整理事業地内であり、同事業に属する。現時点では土地の取り扱いの方針が決定していないため、建物の保存・整備・活用の計画等の策定が出来ない状況である。また千葉市としては、千葉県の文化財課と協議を行った結果、指定・登録を行う場合、その文化財が、将来に渡り保存される方針が決まっており、それが具体的な計画等に裏付けられていなければ文化財審議会に申請しない。しかし文化的価値は認められるので、今後も建物を維持保存可能な状態にとどめておくために、費用を極力抑えて修繕を実施していく予定とのこと。
今後の対応について
この建物と土地は現在検見川・稲毛地区土地区画整理事業地内に有り、区画整理事業は現在も進行中である。当初の計画では中学校と公園をつくる予定であったが、現在中学校の計画はなくなったために、送信所の建物が残っている状態である。区画整理組合としては区画整理事業が今後も続くとのことで、この建物(敷地)への特大な予算は期待出来ないとのことです。2009年熊谷市長が現役市長として初めて、千葉県建築家協会の案内で送信所内部を視察し、視察後の会見で「保存・利活用」を明言された経緯もあり、この建物と土地の一部を区画整理組合から切り離し、千葉市教育委員会生涯学習振興課か管轄できる様にし、裏付けとなる予算を付け、早急に保存・利活用計画を進めると同時に文化財登録することが望まれる。保存・利活用に関してはJIA千葉が協力できる旨伝えて有ります。
井上 茂實(JIA千葉地域会)